「葉緑体が関与する植物の高次生命現象の解明」を目指して研究を行っています。これからも、精力的に研究活動を行い、新しい発見を目指します
葉緑体に代表される「プラスチド」は、シアノバクテリアが真核細胞に共生することで生まれたオルガネラであると考えられています。もともとプラスチドゲノムが持っていた遺伝子のほとんどは進化の過程で核ゲノムに移ってしまったため、プラスチドの分化は核遺伝子の発現により支配されていると言って過言ではありません。
その一方で、プラスチド自身も何らかのシグナルを核に送り、核遺伝子の発現を調節していると考えられています。こうしたシグナルを総称して「プラスチドシグナル」と呼んでいますが、プラスチドシグナルの伝達機構はほとんど分かっていません。
そこで、私たちは様々な手法を用いてプラスチドから核へのシグナル伝達ネットワークの解明を目指して研究を行っています。
植物細胞に特有な細胞内器官である葉緑体は、光合成などの様々な代謝活動の場です。ほとんどの葉緑体タンパク質は核ゲノムにコードされているため、葉緑体での代謝活動はサイトゾルから葉緑体へのタンパク質の輸送により支えられています。3000種類を超える葉緑体タンパク質は、包膜上のタンパク質透過装置「Toc-Tic複合体」やその他の経路を介して葉緑体内に取り込まれていると考えられます。
私たちはToc-Tic複合体の作用機構や、「葉緑体内部」におけるタンパク質のターゲティング機構を解析することで、葉緑体バイオジェネシスの理解を目指しています。また、葉緑体への人為的なタンパク質ターゲティングによる代謝機能の改変に関する研究も行っています。
温帯以北に生息する植物の多くは、ある一定期間、凍結しない程度の低温に曝されると、次に襲ってくるさらに低い温度に対して凍結耐性を獲得します。これを「低温馴化」と言いますが、この過程で植物は数多くの遺伝子の発現を誘導し、それらがコードするタンパク質の機能により凍結に対する耐性を獲得していると考えられています。
そこで、こうした低温誘導性タンパク質の細胞内局在や分子機能を詳細に解析することで、植物が低温ストレスから身を守る仕組みの解明を目指します。